【商標一般】商標の識別力って何?その2
2026-04-15
今回は、商標の識別力がない場合について、もう少し掘り下げて説明します。
商標の役割は「自分の商品と他人の商品を区別すること」ですが、中にはその役割を果たせない言葉があります。たとえば、ビールに「Beer」、お煎餅に「せんべい」と書かれていても、それらを特定のブランド名として認識する人はいないでしょう。
こうした言葉を特定の誰かが独占してしまうと、他の事業者がその言葉を使えなくなり、取引の場に大きな混乱を招いてしまいます。そのため、商標法では「識別力がないもの」として、主に以下の6つのパターンを登録できないものとして規定しています。
1. 商品やサービスの「普通名称」
その商品そのものの呼び名です。りんごに「Apple」、パソコンに「Personal Computer」といったケースがこれにあたります。誰でも呼ぶ名前を独占させることはできません。
2. 業界で当たり前に使われる「慣用商標」
もともとは特定のブランドだったものが、長い年月を経て、その業界で一般的になってしまったものです。清酒に使われる「正宗(まさむね)」や、あられに使われる「柿の種」などがその典型例です。
3. 商品の産地や品質などを表す言葉
商品の産地、販売地、品質、原材料などを説明する言葉です。りんごに「青森」、お茶に「静岡」といった産地のほか、食品に「おいしい」、時計に「精密」といった言葉も、単なる説明とみなされ、登録は認められません。
4. ありふれた苗字や名称
「山田」「佐藤」「田中」といった、日本で非常によく見かける苗字や名称です。これらは多くの人が名乗るものであるため、特定の個人に独占させるのは不適切と判断されます。
5. 極めて簡単で、ありふれた標章
ローマ字1文字や2文字(「AB」など)、あるいは単純な円や四角といった図形です。これらは商品の型番や品番として使われることが多いため、目印としての力が弱いとみなされます。
6. その他、個性を感じられないもの
上記以外でも、消費者が「誰かのブランドだ」と認識できないものは登録できません。例えば、ありふれたキャッチフレーズや、単なる模様(地模様)などがこれに該当します。
このように、商標登録の世界では「誰もが使いたい言葉」や「単なる説明」は、みんなの共有財産として自由にしておくというルールがあるのです。





