飯島国際商標特許事務所
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【国内制度紹介】商標法上の商品・役務

2026-04-25

商標法における「商品」や「役務(サービス)」には、法律上の直接的な定義はありませんが、実務上は「独立して商取引の目的となり得るもの」と解釈されています。
かつては、この「商取引」を狭く捉え、無償で配布される販促品や無償のサービスは、保護の対象となる「商品・役務」には当たらないとする考え方が主流でした。

 しかし、近年の裁判例では、この解釈がより柔軟かつ実態に即したものへと進化しています。
例えば、広告収入を原資として無料で配布される新聞(フリーペーパー)が争点となった事案(とうきょうメトロ事件)では、「商取引は売買契約に限られるものではなく、営利を目的とした多様な契約形態が含まれる」との判断が示されました。
読者が対価を支払っていなくても、広告主との契約を含めたビジネス全体を観察し、その配布物が独立して市場に流通していると認められるのであれば、商標法上の「商品」に該当すると結論付けられています。

 つまり、現代の商標実務において、提供形態が有償か無償かという形式的な区別は決定的な指標ではありません。重要なのは、その配布物やサービスが市場において独立したブランド(出所)として認識され、選択の対象となっているかという取引の実態です。
そのため、無料のアプリやサービス、あるいは戦略的な無償配布物であっても、それがビジネスの核をなすものであれば、商標権による適切な保護を図ることが極めて重要となります。

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